今でこそ当たり前のようにパソコンやインターネットに不自由しない環境が整いましたが、以前は考えられないことでした。1990年代のトレンディドラマ(流行りのドラマの意)のワンシーンを見ると、当時、時代の最先端を表現したハイセンスなオフィスにパソコンが一台しかないなんてこともあります。現在のオフィスはインターネットに接続されたデジタル機器で溢れており、一般家庭でも、一家に一台から一人一台、さらに携帯やスマートフォンなども殆どの人が持っています。
スマートフォンは勿論インターネットに常時接続していますし、タブレットや複数台のパソコンが家庭内LAN や 無線Wifi によってネットワークが組まれ、そこからインターネットに接続されている場合も多いと思います。
インターネットは、電気や水道などと同様に、もはや私たちの生活の一部でありライフラインと言っても過言ではないでしょう。
では、そもそもインターネットとは何でしょう。インターネット(Internet)とは、TCP/IPと呼ばれる通信方法によって全世界のコンピューターが接続された巨大なネットワーク網のことを指しています。インターネットとは巨大なコンピューターネットワークのことなんです。インターネット(internet)を直訳すると、『相互接続された(inter)・データ通信網(network)』となります。
TCP/IP(ティーシーピー/アイピー)はインターネットを実現している根幹となる技術の1つなので少し詳しく説明します。TCP/IPとは、インターネットで標準的に使用される基盤となる通信方法のことです。インターネット・プロトコル・スイートやTCP/IPプロトコル・スイートとも言います。(プロトコルとは通信規約や通信手順を意味します)なぜこのように呼ぶかというと、TCP/IPとはTCPというプロトコルとIPというプロトコルを中心にしたプロトコル群一式から構成されているからです。TCP/IPは、様々な種類のコンピューターや異なる種類のOS(オペレーティング・システム:コンピューターの基本システム)においてもネットワーキングを実現するために、多くの種類のプロトコル(通信方法・通信手順)によって階層構造で構成されている通信プロトコル一式となっています。
この通信方法によって、コンピューターの種類やOSの違いに関係なく、様々なシステムのあらゆるコンピューターがネットワークに参加することが可能になります。例えば、パーソナルコンピューターの Apple社製 Power Mac や Microsoft Windows を搭載した PC/AT互換機のコンピューターでも、UNIX OS を搭載したサーバーマシンであっても、システムや機械の違いに関係なくTCP/IPのネットワークによって相互通信が可能になります。この通信方法によって非常に豊かなデータ通信を行えるコンピューターネットワークが成り立っています。
世界中のコンピューターが接続しているインターネットでは、例えば、何気なく yahoo.com と Webブラウザ のアドレス欄に打ち込んでアメリカの Yahoo! のホームページを閲覧することが出来ます。とても簡単に表示されているように見えますが、自分のパソコンから yahoo.com までには多くのコンピューターやネットワーク機器を経由してたどり着いています。インターネットによって世界中のコンピューターが繋がっているからこそ可能なことなんですね。
インターネットは、アメリカ国防総省のARPA(高等研究計画局)によって導入された ARPANET(アーパネット:Advanced Research Projects Agency Network) が起源とされています。ARPANETは、遠隔にある複数のコンピューター同士を繋ぐ、分散型コンピューターネットワークの研究のために開発されました。
最初は、アメリカ国内の4カ所、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、スタンフォード研究所、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)、ユタ大学のコンピューター同士で1969年に開通しました。その後、ARPANET の通信プロトコルが、Network Control Program から TCP/IP へ移り変わり、ネットワーク基盤が ARPANET から NSFNet へ移行し、1988年からアメリカで商用利用がスタートします。1990年に、CERN(欧州原子核研究機構)のティム・バーナーズ=リー氏によって、World Wide Webシステムのための最初のサーバー(CERN httpd)とブラウザ(Nexus)が公開されました。その後 Windows OSなどの普及によって一般家庭のコンピューター普及率が上がるとともに、世界中にインターネットが広がり今日の規模へと成長を遂げました。
では次に、Web(ウェブ)とは何のことを指しているのでしょうか。みなさん Web と インターネット は同じ意味で使用することが多いかもしれません。ですが、Web と インターネットは厳密には異なることを指しています。Web は インターネットの中で成り立っている1つの技術のことを指しています。
Webとは、【ワールド・ワイド・ウェブ:World Wide Web(WWWとも言います)】の略称で、インターネットで用いられる基本的な文書システムのことです。簡単に説明すると、ホームページのページ文書を記述するのに用いられる仕組みのことです。一般的に Web(ウェブ)や WWW と呼ばれます。
WWW の文書システムをハイパーテキストシステムと言います。ハイパーテキストとは、文書中にURLを記述することで、他の文書への参照を埋め込むことが出来ます。これをハイパーリンクと呼び、このリンクによって、インターネット上に散在する文書同士が相互に参照できるシステムが構成されています。WWW では、文書同士だけでなく、画像、音声や動画などの他のファイルをハイパーリンクによって文書に埋め込むことが可能です。この WWW の仕組みによって、文書、画像、動画、音声、などが相互に参照し、世界中に張り巡らされた蜘蛛の巣のような広がりが構築されました。これが「World Wide Web:世界中に広がる蜘蛛の巣」と言われる所以です。
WWWでは、文書(ドキュメント)の記述に HTML や XHTML などのハイパーテキストを記述する言語が使用されます。HTML や XHTML は、Webページを作成する為の代表的なマークアップ言語です。マークアップ言語(markup language)とは、文書構造(見出しや段落など)、意味、機能、デザイン(レイアウトやフォントサイズ)に関する指示を文書の中に埋め込んで記述するコンピューター言語の一種です。文書はテキストファイルに記述することが出来ます。公開されているWebページの大半は、このHTMLが使用されています。
「 www文書システム=ハイパーテキストシステム 」を利用するには、WebサーバーとWebブラウザが必要です。
Webサーバーは Apache(アパッチ) や Microsoft IIS などの Webサーバーを構築するサーバーソフトウェアによって稼動しているコンピューターです。Webサーバーは、Webブラウザ(Internet Explore、Chrome、Safariなど)からの要求に応じて、サーバー内に保存してあるHTML文書を表示させます。Webサーバーに要求を出し、その応答を受け取るためにWebブラウザが必要です。WebブラウザはWebサーバーから送信されたHTML文書を表示させることが出来ます。Webブラウザはクライアントやユーザーエージェントとも呼ばれます。Webサーバー、Webブラウザ、WWWのハイパーテキストシステム、HTML文書、これらによって私達はWebサイトを閲覧することが出来るようになるのです。
WWWは元々、研究者グループが複数のコンピューター上で文書を共有するための論文閲覧用システムとして開発されました。欧州核物理学研究所(CERN:セルン)のティム・バーナーズ=リー(Tim Berners-Lee)氏が所内の論文閲覧システムとして考案しました。その後、様々な開発を経て1991年に一般公開され世界中に普及しました。
インターネット と Web 、それを取り巻く様々な技術によって情報革命がもたらされたことはもはや疑いがないでしょう。インターネット黎明期の日本では、企業も流行に乗る程度の意識でいた場合も多く、「海とも山とも知れず」という感じでした。インターネットは、新しい未知のものとして希望や不安を巻き起こしたのでした。
インターネットは生活線と同じように、あるのが当然の社会インフラとなり、現在、この新しいインフラの上で既存や新規の産業や技術の集約が起こっています。
Google や Amazon、Facebook、Apple、Microsft、IBM、oracle アメリカ大手IT企業の影響力は増し続け、近年では中国のIT系企業 Albaba や Tencent などの成長にも注目が集まっています。IT分野の調査を行う企業 ガートナー(Gartner, Inc.)は2018年10月17日、2018年の世界IT支出が3.7兆ドル(418兆円)となり、2019年には3.2%増の3.8兆ドル(430兆円)に達する推計を発表しました。ガートナーによると日本国内では、2018年IT支出は26.5兆円で、2019年は1.6%増の26.9兆円に達する見通しです。また、IT産業の成長によって、AI(人工知能)、IoT(インターネットとモノ)、ビックデータという技術が発展期を迎えており、これまでにないテクノロジーが生み出されつつあります。
1900年代のコンピューターとインターネットの発明は、第3次産業革命とも言われており、第1次~第2次を筋肉の拡張とすると、第3次は神経の拡張と言われています。そして、AI、IoT、ビックデータなどを始めとする新しい技術が第4次産業革命を世界に齎すとされ、ITの浸透によって人々の生活がより良い方向に変化するデジタルトランスフォーメーション(DX)が進行しています。
この先、これまでにない様々なイノベーションが起こるのではないでしょうか。